雨の日に写真を楽しむ方法|カメラ用語を正しく理解しよう vol.12

はじめに
こんにちは! ShaSha編集部です。いつもご覧いただき、ありがとうございます。
ShaShaはご存じのとおりカメラやレンズなどの機材、また撮影方法などを写真愛好家の皆さまに紹介するサイトです。毎日更新される記事内では、少し難しい専門用語がたくさん飛び交っていますね。もちろん内容をすぐに理解できる写真上級者の方も多いかと思いますが「それってなんのこと?」と、?マークが出ている読者の方もいらっしゃると思います。
このシリーズではそんな初心者の方に、つまずきがちな写真用語をわかりやすく解説していきたいと思います。「なんとなくはわかってはいるけど……」という方も、用語をきちんと理解できると写真生活がますます楽しいものになるはずです。
もちろん中・上級者の方も、おさらいに是非読んでみてくださいね。
雨の日に写真を楽しむ
雨がしとしと降る梅雨の季節。写真を撮りに出かけたくても、外に出るのが億劫になってしまいますね。しかし、こんな雨の日こそ普段撮れないような写真を撮るチャンスです。
今回は雨の日に写真を撮るための撮影グッズや、雨ならではの撮影方法をご紹介します。

雨の日の撮影グッズ
まず自分自身が濡れないようにレインコートなどを着ましょう。そしてカメラやレンズを雨に濡らさないことが大切です。パラパラとした雨なら傘をさしながらカメラを構えることは可能ですが、強めの降りになってくると機材が濡れてしまいます。そんな時にはこちらのグッズが役立ちます。
・カメラカバー
カメラをすっぽりと覆って雨から守ります。カバーに手を入れてカメラを操作します。ポイントはカメラやレンズのサイズに合ったものを選ぶことと、背面液晶やファインダーが見やすいものを選ぶこと。透明だと操作しやすいでしょう。水辺などの撮影の時にも使えますし、こちらのビニールのタイプはそれほど高価でもないので一つ揃えておくと安心です。
・レンズフード
レンズ面を守り、フレアやゴーストをおさえてくれるレンズフード。しかし、レンズフードをつけていない人は意外と多いと思います。
フードをつけることで雨の日もレンズ面を水滴から守ることができますので、とくに雨の日はつけるようにましょう。
・レンズクロス・クリーナー・ブロアー
注意していてもレンズ面に水滴がついてしまった場合には、まずブロアーで水滴を吹き飛ばしましょう。それでも水滴がとれない場合には、専用のクロスで拭きます。また雨の日は湿度が高く、レンズがくもりがちです。レンズがくもると画像がぼやけたり、コントラストが低下したりします。本格的な撮影をする方はレンズヒーターを使用することもありますが、初心者の方はこまめに拭きとるようにしましょう。
・タオル
ご自身やカメラ、レンズが濡れてしまった時に拭くタオルも用意してください。ただしタオルでレンズ面は拭かないようにすること。布の目が粗いので、細かい傷が入ってしまうことがあります。レンズ面は必ず専用のクロスなどで拭いてください。
・出し入れしやすいバッグ
雨の日はバッグのセレクトを間違えると、カメラの出し入れやレンズの取り替えなどが困難になります。ショルダーバッグなどの口が広いものに入れるか、リュックサックでも前に抱えるように持つと便利でしょう。いずれも撥水や防水タイプのものを選びます。ない場合にはバッグ用のレインカバーをつけると安心です。
・乾燥剤
撮影後はカメラやレンズの水分を拭いて乾燥させることが必要です。とくにレンズは内部に何枚ものガラスが重なっているので、しっかりと乾燥させます。防湿庫があるとベストですが、ない方は乾燥剤を入れた袋などにカメラやレンズを入れておくと良いでしょう。繰り出し式のズームレンズは、繰り出した状態で乾かします。
・ほかにもこんな雨のグッズがあります
レンズ保護フィルター。雨や砂埃からレンズを守ります。こちらはガラス両面に、面反射1%の高精度マルチコートが施されています。
自分とカメラをすっぽり覆ってしまうレインコート。レンズが出せる穴が開いています。ちょっと箱男っぽいけど野鳥撮影などに便利そう。
三脚に傘をつけることができるホルダー。動きのない被写体のときにオススメです。風景写真家の方が使われているのをよく見ます。
いざ撮影へ! 雨を活かした撮り方
・雨が写るシャッタースピード
雨が降っているシーンを撮る場合、シャッタースピード次第で写真に写る雨の形が変わってきます。降り具合にもよりますが、雨の粒をはっきり撮りたいときには1/250秒以上の高速シャッターで撮りましょう。逆に1/30以下のスローシャッターで撮ると雨が線状に写ります。背景が明るいと雨粒が写りづらいので、暗い場所を選ぶとわかりやすいです。
・波紋を撮る
水面の波紋を撮ると、雨ならではの表現ができます。ぽつりぽつりと雨が降っているときのほうが、水面はうるさくなりすぎません。シャッタースピードは速めのほうが波紋の形がキレイに出ます。遅めにすると波紋がにじんで雰囲気が出るでしょう。

・水たまりのリフレクションを撮る
水たまりのリフレクション写真を撮る場合には、雨上がりがベストです。雨が降っていると水面が水滴によってにじんでしまうからです。
また風が弱いこともポイント。風が吹くと水面に波が立ってきれいに反射しなくなってしまいます。水面ぎりぎりのローポジションから撮ると反射がはっきり出ますが、角度で反射している様子が変わるので色々試してみてください。
このとき反射光をおさえるPLフィルターを使うと、さらに鮮明に写ります。注意点は露光量が少なくなるため、実際よりも暗く写ってしまうこと。しかし風景写真を撮りたい方は、光の強いシーンでスローシャッターを切りたいときなどに減光ができるので一つ持っておくと便利です。

・水滴を撮る
普段は何気ない光景でも、雨で濡れていたり水滴がついていることで作品にぐっと物語性が出ることがあります。とくに植物に水滴がつくと、とてもフレッシュなイメージになりますね。


・ボケを楽しむ
水滴を利用したボケも楽しめます。背景の雫が丸ボケになるように写すと、とても可愛らしいです。雨上がりに太陽が出たら逆光や半逆光で撮るとボケがキラキラと光り、さらにきれいですよ。また、水滴のついたガラスやビニール傘などにピントを合わせて背景をぼかすとドラマティックになります。いずれも焦点距離の長いレンズや、絞り開放値のなるべく低いレンズを使いましょう。


・雫を撮る

マクロレンズをお持ちの方は、雫の中に被写体が映りこむ雫写真にもチャレンジしてみると楽しいですよ。水滴の後ろにある被写体が、水滴の中に映り込んでとてもおもしろい写真になります。マクロレンズをお持ちでなくても、クローズアップフィルターというレンズの前面につけて接写撮影ができるフィルターもありますので、気になる方はぜひ挑戦してみてください。価格もマクロレンズと比べるとかなり安価なので、気軽にマクロの世界を楽しめます。
▼ケンコー クローズアップレンズ
雫の映り込み写真を最初から外で撮るにはハードルが高いので、まずは家で練習してみましょう。
★用意するもの
・マクロレンズor焦点距離長めのレンズ+クローズアップフィルター
・三脚
・被写体ふたつ
・水滴をつくるためのスポイト
・セロハンテープなど
ここでは花の映り込み写真を撮ってみましょう。まず花を2本用意し、前後に配置します。手前にある花びらや葉っぱにスポイトでなるべく大きな水滴を作ります。すると、後ろにある花が水滴の中に映り込む角度がありますので、そこにカメラを三脚に固定しピントを合わせます。
絞りを開けすぎると水滴に映り込んだ被写体にピントが合いづらくなるので、F5.6~8ぐらいに設定すると撮りやすいでしょう。
なかなかいい感じの雫にならなかったり、せっかくできてもすぐに雫が落ちてしまったりするので根気よく撮影してください。

・小道具を使う
カラフルな傘などを小道具にする手もあります。しっとりとした光景の中に鮮やかな色がポイントになるので、雨の日ならではのスナップが楽しめるでしょう。しかしポートレートの場合には、露出を確保するために光を通しやすいビニール傘がおすすめです。


雨撮影のポイント
・しっとりとした雨の雰囲気を出したいときには、露出は少しアンダー気味に
さいごに

雨の撮影方法、いかがでしたか? 雨の日が少し楽しくなったのではないでしょうか。撮影後は必ずお手入れを忘れずに、湿度の低い場所で保管してカビを生やさないことも大切です。例えばOM SYSTEMのOMシリーズのミラーレスカメラは優れた防塵防滴機能がついているので、雨の日でも特別な装備なく撮影を楽しめるのでおすすめです。ShaShaでも雨の日に撮影する方法の記事が掲載されています。こんなすごい写真、いつか撮ってみたいですね!
大雨による災害が増えています。夏は雷を伴うことも多いので、身の危険を感じたら撮影は中止してすぐに避難しましょう。また、雨撮影に夢中になって体を冷やし、風邪などひかれませんように。
いかがでしたか? 理解できた方も、そんなこと知っているよという方も、なにかしら参考にしていただけたら幸いです。それでは今日も楽しく撮影に出かけましょう! カシャカシャ!
■TOP画像撮影:横井隆和